ランク帯別のチャンピオンマスタリー

IronとDiamondのプレイヤーは、チャンピオンの習熟方法が違うのでしょうか? 1.2M試合超・780万データポイントを分析し、IronからMaster以上までマスタリーキャップと習熟コストがどう変化するかを調べました。

データセット

二つのデータソースを統合しました: 新規のティア別分析(IronからDiamondまで、マスタリー情報を付与した試合データ)と、当初のMaster以上データセット(初期クロール時代の53万試合)です。これにより8つのランクブラケットすべてを網羅できます。

ティア 試合数 中央値キャップ 平均コスト
Iron66,8936-10.5%
Bronze46,8166-10.7%
Silver57,6976-10.0%
Gold285,3926-8.5%
Platinum141,5066-8.7%
Emerald82,4566-9.6%
Diamond14,0326-16.6%
Master+530,5406-12.3%

方法論

マスタリーカーブ: チャンピオンとティアの組み合わせごとに、各マスタリーレベル(1〜40+)の勝率を算出し、統計的検出力を確保するため2レベル単位のバケット(1-2、3-4、5-6 …)に集約します。単調平滑化により、カーブが下に逸脱しないようにしています。

マスタリーキャップ(Spearman): スライディングウィンドウでSpearman順位相関を計算し、勝率が経験量と相関しなくなるマスタリーレベルを特定します。各候補カットオフについて、それを超える残りデータが依然として有意な正の傾向(p < 0.05、rho > 0.1)を示すかをテストします。相関が消失する点がキャップです。

習熟コスト: マスタリーキャップ未満で当該チャンピオンをプレイした際の勝率低下幅を測定します。(low_mastery_WR - plateau_WR) × 100で算出します。コスト-8%は、初使用者が経験者と比べて勝率で8ポイント分損していることを意味します。

サンプルサイズの基準: 二項分布の信頼区間幅の解析に基づき、±3pp精度(95% CI)を確保するためマスタリーバケットあたり267試合以上、5pp差を80%の検出力で検出するためグループあたり385試合以上を要求します。あるティアで合計200試合未満のチャンピオンは除外しました。

発見1: 高ランクほどマスタリーキャップが圧縮される

マスタリーキャップの中央値は全ティアで6ですが、高ランクでは分散が大幅に小さくなります。Ironでは、マスタリー26まで上昇を続けるチャンピオンも見られます。DiamondやMaster以上では、ほぼすべてのチャンピオンがマスタリー6で頭打ちです。

このデータでは、高ランク帯の習熟曲線ほど推定上限に早く達しました。低ランク群(Iron/Bronze/Silver)と高ランク群(Diamond/Master以上)を比較したMann-WhitneyのU検定でも差は有意でした(p = 0.0005)。

ただし、これは複雑な約35チャンピオンが牽引している傾向です。80%のチャンピオンはランクに関わらずマスタリー6で頭打ちになります。

発見2: 習熟コストはランクを超えて安定している

意外なことに、習熟コストはティアを通じておおむね-8%中央値前後と非常に一貫しています。Ironのプレイヤーが新規チャンピオンを使ったときに払う勝率の代償は、Diamondのプレイヤーとほぼ同程度です。

Mann-WhitneyのU検定では、ティア群間に有意差は認められません(p = 0.06〜0.18)。ティアランクとコストのSpearman相関は弱く(rho = 0.11)、サンプルサイズの大きさにより形式上は有意です(p = 0.0001)。

ランク依存マスタリーカーブが最も大きいチャンピオン

一部のチャンピオンは、ランクによって推定上限が大きく異なりました。ViegoはIronで26、Diamondで6となり、20レベルの差があります。ゲーム全般の知識が差の一部を説明する可能性はありますが、この分析では原因を切り分けていません。

発見3: AssassinとFighterはスキル天井が最も高い

チャンピオンクラスはマスタリーキャップの統計的に有意な予測因子です(Kruskal-Wallis p = 0.01)。Assassin(キャップが8超のチャンピオンが31%)とFighter(26%)が最も習熟に時間を要し、Tankはほぼ即座に頭打ちになります(4%)。

意外にも、習熟コストはクラスを通じて均一です(-7.5%〜-9.9%)。違いは、習熟中にどれだけ失うかではなく、損が止まるまでにどれだけかかるかにあります。

ロール(トップ、ミッド、ジャングルなど)は有意な予測因子ではありません(p = 0.39)。ミッドが最も高く見えるのは、アサシンとメイジが最も多く属しているからにすぎません。

チャンピオンクラス別マスタリーキャップ(Gold)

クラス チャンピオン数 中央値キャップ キャップ8超の割合 中央値コスト
Assassin16631%-9.9%
Fighter50626%-8.7%
Marksman28625%-7.8%
Mage36619%-7.5%
Support18611%-7.6%
Tank2464%-8.7%

OTPポテンシャル: マスタリーが報われ続けるチャンピオン

真のOTP向きチャンピオンは、高いマスタリーキャップ(マスタリー10以降も伸び続ける)と、その過程での10ポイント超の有意な勝率上昇の双方を備えている必要があります。ハイライト表示されたセルは、各ティアでOTPシグナルが存在する箇所です。

各セルはマスタリーキャップ / 未習熟から頭打ちまでの勝率上昇を示します。ハイライトされたセルがOTPシグナル(キャップ > 10、上昇 > 10pp)を示します。

データ品質と限界

ブートストラップの安定性: Spearmanベースのマスタリーキャップは本質的にノイズが大きい指標です。あるティアで5万試合以上の人気チャンピオンであっても、ブートストラップ再標本化では一部に幅広い95%信頼区間([6, 20]など)が現れます。これはデータの問題ではなく方法論上の限界です。

Diamondデータ: 総数14万試合・1,000試合超のチャンピオンが50体ある条件下では、Diamondデータは習熟コスト分析を支えるには十分ですが、自明でないマスタリーキャップを検出する検出力は限られます。

Master以上データ: 当初の53万試合分析(主にMaster/GM/Challenger)から取得したデータで、チャンピオンあたり最大150マスタリーレベルまでの豊富なレベル別データを提供します。

勝率の整合性チェック: 全ティアの全体勝率は49.6〜49.9%に収まり、内部的なデータ整合性が確認できます。